はじめに

 私は、英語が苦手だ。

 多くの日本人もそうだと思う。たとえ、自分で相当に英語に自信があったとしよう。海外で働こうと思うだろうか?もちろん日本企業に所属して海外赴任するということはあるだろう。ワーキングホリデーの延長でそのまま定住し若い時期を過ごすこともあるだろう。

 しかし、である。。。

 今この記事を読んでもらっている読者のうち、どれだけの方が日本企業からの海外赴任ではなく、自ら職をさがし海外で自らの生を全うするといえるだろうか?おそらくほとんどいないと思う。

 好むと好まざるとにかかわらず、私たちは日本語が第一言語であり、それ故に日本経済の浮き沈みと無縁の立ち位置をとることは極めて困難なのだ。

 特に一線で活躍しているビジネスパーソンは、そのことを痛感しているはずだ。

 私たちが無関係でいられない日本経済は過去四半世紀以上にわたって停滞の期間にあったといえる。もっと言えば、1980年代中盤の試練を安易な方法で誤魔化した、その後遺症から抜けきっていないともいえる。

 こうした経済停滞からくる影響の多くの部分は、若い世代に降りかかっているといってもいい。非正規雇用がごくありふれたものとなり、その分だけ所得の伸びは抑えられている。合計特殊出生率は低位安定し、結果として高齢化が上昇するという悪循環は、むしろ強化されているように見える。

 一方で、明るい材料もある。

 私が経済学の学位をとって以降、若い学生と交流する機会が増えた。感じることは、まず

 1)ハッキリとものを言う

   ことだ、プレゼンテーションも上手だ。自ら情報を発信することに躊躇がない。そして、

 2)キチンと悩んでいる

   過剰にルーティーン化された就職活動に疑問を抱き、自分の人生をトータルで考えようとしている。また、

 3)組織と自分を相対化している

   ことも見逃せない。

 

 さて私はといえば、経済学者にはなったものの、研究・教育は副業である。

 主な収入源はビジネスコンサルだ。

 ただ、経済学を理解していることは、コンサルティングサービスを提供するうえで大いに役立っている。

 コンサルタントといえどもお客さん商売だし、サービス内容の抽象度は非常に高い。だから「市場分析や業界分析にはあまり時間を使わないでください。散々やってきてよくわかってますから。」というリクエストも良く受ける。実際に「お客さんがリクエストしてないものをやっても仕方ない。ウケない分析に労力を割くのはムダ」と割り切ってしまう同僚コンサルタントがいたことも事実だし、それで普通だと思う。

 ただ、頼まれなかったからといって、市場分析、業界分析をやらずにクライアントに言われるがままの分析をしたところで、これはこれでウケないのだ。むしろ、頼まれたことをそのとおりにやって、ドン引きされるクオリティにしかならないリスクの方が恐い。

 だから、自分の場合はたとえ頼まれていなくとの、市場分析、業界分析と整合的なサービス提供となるよう心掛けてきたし、その方がクライアントに深く納得してもらえる確立は高くなる。そういったちょっとした裏技を自分の手元でサクッとこなすうえで、経済学あるいは経済を知っていることは非常に役に立ったと思っている。

 

 このブログの目的は、2つある。

 1つは、コンサルする経済学者として、ビジネスを見つめなおすために、少しズームを引いた視点を提示すること、

 そして、もう1つは、2050年にこの国がより住みやすい国になっていることを、読者とともに考えることだ。

 もちろん、実務的に役に立つノウハウも順次記事化していくつもりだ。

 それでは、はじめよう。